「ベンチャーキャピタルと戦略的シンクタンクによる産学連携の推進と地域興し」
北海道ベンチャーキャピタル梶^鰍gVC戦略研究所
代表取締役社長 松田一敬
北海道にとって外貨を稼ぐ産業を
2004年12月27日、北海道新聞の一面を『北海道ベンチャーキャピタル 大阪、米の同業と提携 バイオ関連 進出、誘致に期待』という記事が飾りました。本文は「ベンチャー企業の発掘、育成に取り組む北海道ベンチャーキャピタルは27日、バイオ産業の集積地である関西地区と米国・カリフォルニア州をそれぞれ拠点とする同業2社と業務提携を結ぶ。国内外に豊富な人脈と情報を持つ二社と提携することで、ベンチャー企業の道外進出を支援したり、米国ベンチャーの道内誘致などを目指す。・・・」と始まっています。北海道ベンチャーキャピタル(「HVC」)はその設立の理念として、
1.北海道にとって外貨を稼ぐ産業を育成する
2.世界を目指す企業の発掘、育成、誘致を目指す
3.技術指向のベンチャーをマーケット指向にする
4.面としての北海道の底上げ、魅力を高めて道外から資金を呼び込む
5.産学連携の推進、新しい付加価値の創造
6.従来北海道になかった金融機能、ファイナンス手法の導入
7.地域の共生を念頭に置いた企業育成(北海道のパイが増えればみんなが恩恵を受ける)
を掲げています。今回の3極提携はこのような理念に基づき、道内企業の育成と道外進出の支援、道外企業への投資を通じた有力ベンチャーの誘致への足がかりになると期待しています。
HVCはベンチャーキャピタルとして3本の投資事業有限責任組合を運用し、IT・バイオをはじめとする技術系企業、大学発ベンチャーなど約40社に投資を行っています。サッポロバレーのIT2社を含め既に投資先5社が株式公開しました。
一方、戦略的シンクタンク兼コンサルティング会社である鰍gVC戦略研究所を通じて技術インキュベーション、技術移転、産学連携の推進、地域におけるクラスター政策の立案を行っています。シンクタンク機能の例としては知的クラスター創成事業『札幌ITカロッツェリアの創成構想』の企画立案、モデル構築を行っています。北海道はバイオクラスター形成において全国的にも先進地域の1つとされていますが、この仕組みづくりにも協力しています。コンサルティング機能としては特許戦略の立案や技術移転のアドバイス、事業提携コンサルティングなどを行っています。
北海道はなんでもそうなのですが、ネタや原料はいいが、それに付加価値をつけるのが苦手です。北海道産の農産物は高いブランドイメージを持ちますが、付加価値をつけて売るのが下手なように、北大をはじめとする道内大学、研究機関には優れたシーズがありますが、これに付加価値をつけ、事業化する機能がまだまだ十分ではありません。HVCはこのような大学・研究機関のシーズの付加価値創造を行う民間企業です。そのため、北海道TLOとも業務提携を結んでおり、さらに私が小樽商科大学ビジネススクール非常勤講師や北大先端研の特別究員であることを通じて大学との関係を密接なものにしています。
優秀な人材を集める
地域を元気にするためには面白い人材や企業が出てくることが必要です。そこでHVC戦略研究所では北海道に移住してきた高い専門的知識経験を持つ人物、北海道出身者、北海道やHVCに興味を持ってくれる国内外の専門家などを集めています。彼らは最近よく取り上げられることの多いインディペンデントコントラクター(「IC」)であり、経歴としては財閥系シンクタンク出身者、外資系証券会社幹部、製薬企業の開発担当者、ITコンサルタント、ロボットの権威などレベルの高い人材が集まってきています。彼らの存在が、HVCの産学連携支援にも大きく役立っています。大学シーズの事業化を進める際、教授等研究者とサイエンスレベルで同等の議論ができることが重要で、その上でようやく事業化、ファイナンス、マーケティングの話ができるわけです。優れたICは、HVCの得意分野であるIT、メディア、バイオ、エネルギーなどで同等に大学等の研究者と議論し、技術面からビジネスの可能性を探ります。
ベンチャー企業への投資は誘致ならびに北海道の産学連携の推進につながる
当社は投資対象を道内に絞らず、道外、海外にも投資することでそれらの企業と北海道との関係を深めています。ベンチャーへの投資は最も効果的な企業誘致でもあります。例えばHVCのバイオファンドには北海道から(財)北海道中小企業総合支援センター経由で1億円の出資を受けていますが、既に投資先が道内へ8億円の直接投資を行うなど経済効果も上がっています。さらに北大との共同研究や寄附講座開設につながる例や道内投資先との連携も複数出てきており、バイオファンドによる投資が実際に道内の産学連携を加速しています。
道外の技術系ベンチャーへの投資はこれまではバイオが中心でしたが、今後はエネルギー、IT、ナノなど北大等が競争優位を持つ分野に広げていきたいと思っています。HVCによる投資を通じ、道内大学との共同研究が増えるとともに、地元におけるベンチャー設立や技術移転、企業の進出が活発になることを期待しています。
このように当社はベンチャーキャピタルを通じた投資と戦略研究所を通じた戦略的シンクタンク機能、技術インキュベーション機能を駆使して、北海道のネタに付加価値をつける活動をしています。日本は地方がよくならないとよくなりません。産学連携を通じた地域興しのモデルになればと考えています。
プロフィール
松田一敬(まつだいっけい)
埼玉県出身。慶大経卒、INSEADにてMBA。小樽商大商学修士。北大医学研究科博士課程在籍中。1986年山一證券へ入社。ロンドンにて中東・アフリカ・東欧などを担当。1997年、札幌市にある民間シンクタンクの北海道未来総合研究所へ。2000年に北海道ベンチャーキャピタル鰍設立、2002年7月より代表取締役社長。我が国における地域密着型ベンチャーキャピタルの草分け的存在として、サッポロバレーの推進、北海道におけるバイオクラスターの形成促進等に携わるほか、鰍gVC戦略研究所を通じて技術移転、インキュベーションに力を入れる。
以上