国際取引の最新事情と実務


第2回 国際取引に於ける取引条件の建値(Price Quotation)

前回はインコタームズのF.O.B. (Free on Boardの略)とFCA(Free Carrierの略)の解説を致しましたので、今月は米国のF.O.B.の解説を致します。

日本の輸入者が米国から商品を買付ける際の取引建値として、F.O.B. Portlandとして商談を進めていた所、どうしても米国側と話が一致しない事態によく遭遇します。その理由の一つに、米国には1941改正米国貿易定義という規則があり、F.O.B.について米国独自の定義があるからです。

私たちが通常認識しているF.O.B.契約の本質は、国際商工会議所(ICC ; International Chamber of Commerce )により1936年に制定された、インコタームズ(Incoterms : International Commercial Termsの略称)で定義されているように、貨物を船積港で輸送船舶に積み込む手順を前提にした積地売買契約です。

ところが同じF.O.B.という建値であっても、米国の1941改正米国貿易定義には6種類のF.O.B.があり、其々売主の危険負担と費用負担が買主に移転する時点が違っています。必ずしも「本船渡し条件」だけを意図しているものではありません。

F.O.B.の定義が私たちにとって馴染みの深いインコタームズ(Incoterms)の解釈に基づくのか、米国の1941改正米国貿易定義に基づくのかによってF.O.B.の定義が全く異なってきますので、話が一致しない事態が起こるのです。


1941改正米国貿易定義に基づく6種類のF.O.B.とは次の通りです。

  1) FOB named inland carrier at named inland point of departure
指定国内出荷地点における指定国内運送人積込渡し条件
2) FOB named inland carrier at named inland point of departure and Freight Prepaid to named point of exportation
指定国内出荷地点における運賃込み指定国内運送人積込渡し条件
3) FOB named inland carrier at named inland point of departure and Freight Allowed To named point of exportation
指定国内出荷地点における運賃控除指定国内運送人積込渡し条件
4) FOB Vessel (named port of shipment)
本船渡し条件
5) FOB named inland carrier at named point of exportation
指定国内輸出地点における指定国内運送人渡し条件
6) FOB named inland point in country of importation
輸入国指定地点持込渡し条件


上記の通り、1941改正米国貿易定義では6種類のF.O.B.条件がありますが、私たちに馴染み深いインコタームズのF.O.B.に概ね相当するのが、4)のFOB Vesselです。
但し、危険負担と費用負担が買主に移転する時点がインコタームズと違い、貨物が確実に輸送船舶の甲板上に置かれた段階である点が違います。しかしこの点を理解している限り、余り大きな問題にはならないでしょう。

もし1941改正米国貿易定義に基づいて「本船渡し条件」で米国から商品を輸入しようするならば、FOB Vessel Portlandとすべきです。従って1941改正米国貿易定義ではFOB Portlandでは「本船渡し」条件とならない点を理解しておく必要があります。

何れにしましても、契約をする場合、インコタームズに基づく建値を使用するのか、1941改正米国貿易定義を使用するのかを、明確に決めておく必要があります。






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