国際取引の最新事情と実務


第9回 ウィーン売買条約(国際物品売買契約に関する国連条約)について その2

 本シリーズの第6回で、ウィーン売買条約について、その概論をご紹介致しました。その後漸く我が国はこの条約に加入しまして、2009年8月より国内法として適用される運びになります。
我が国は今日まで、当該ウィーン売買条約に付いては、特に法曹界に於いて積極的な対応が取られていなかった為に、条約の内容に関する詳細の議論が極めて限定的にしか行われていませんでした。その結果、残念ながら貿易実務レベルでは、当課題が余り検討されては来ませんでした。
しかしながら、来年の8月には我が国の国際取引では、このウィーン売買条約が基礎になり実務処理が行われるようになります。
そこで今回は個々の国際取引に於いて、今後どのように対応すべきか、その留意点を解説致します。



1.売主と買主の義務及び危険移転の時期

 売主と買主の義務及び危険移転の時期はウイーン売買条約に規定されていますが、私達の馴染みのあるインコタームズ ( Incoterms )のようにきめ細かく規定されてはいません。
FCA,FOB,CIFなどのようなインコタームズを適用しようとする場合はインコタームズ 2000( Incoterms2000 )を適用する旨を契約に明記すれば、インコタームズ が適用されるようになります。
インコタームズ ( Incoterms )で馴染みのあるFOBとかFCAという言葉が入っているだけではインコタームズの適用とはなりません。必ずインコタームズ2000を適用すると契約に入れる必要があります。
もしこの文言を契約に入れ忘れますと、売主と買主の義務及び危険移転の時期は自動的にウィーン売買条約で規定されている条件が適用されてしまいます。


2.物品の適合性

 ウィーン売買条約では当事者が別段の合意をしていない場合、物品が契約締結時に明示的または黙示的に売主に知らされていた特定の目的に適していない場合でも、その物品は不適合と見做されると規定されています。
つまり、明示的に買主に知らされている場合は当然ですが、留意しなければならないのは黙示的という部分です。
当事者間で別段の合意がなされていない場合という前提条件があります。そこで黙示的に使用目的を規定するのは困ると言う場合は、必ず厳密な条件を契約に明記する必要があります。そうでなければ、ウィーン売買条約で規定されている物品の適合性が適用されてしまいます。


3.重大な契約違反

 ウィーン売買条約では契約存続を趣旨としていますので、代替品引渡請求(特定履行)及び契約解除は「重大な契約違反」があった場合にのみ認められます。


4.ウイーン売買条約適用可否

 ウィーン売買条約そのものを適用しないと意図するのであれば、本条約の適用を排除する旨の文言を契約に適切に挿入する必要があります。
特に、注意を要するのは、契約書を取り交わさず、注文書(Purchase Order)で取引する場合取引の相手先が締約国の企業であるとウィーン売買条約が適用されます。
通常の注文書では納期、価格、品目、数量、支払い条件のみを規定して取引に入ってしまいますので今後は注文書ベースの取引には充分注意を払う必要があります。



ウィーン売買条約の条文等は外務省のホームページに掲載されています。

国際物品売買契約に関する国際連合条約(略称:国際物品売買契約条約(ウィーン売買条約))を良くお読みなって、適用排除にするか、或いは部分的に適用排除とするかを検討する必要があります。

尚、部分的適用排除にする場合、個々の契約で厳密に規定すれば、その個々の契約条件がウィーン売買条約の規定に優先されます。


 ※この件で、ご不明な方がおられましたら、個別にご相談に応じます。






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