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明けましておめでとうございます。
景気後退色が急速に強まった2008年を終え2009年を迎えましたが、アメリカを震源地とする国際金融、資本市場の混乱は「100年に一度」と言われる深刻な金融危機に発展しました。
海外景気の減速で、我が国の輸出減少幅が増大し日本経済の好循環メカニズムも崩れつつあります。厳しい幕開けとなった2009年ですが、海外取引に目を向けますと、このような世界同時経済不況下に於いて海外取引を継続させていくには、リスクを最小限に抑えお互いに良好なビジネス関係を樹立させておくことが特に必要です。
今回は英文契約書に関する問題の事例をご紹介いたします。
日本のA社はインドのB社に電子部品を供給するための契約交渉を昨年の9月から始めており、11月にようやく契約締結となりました。B社の社長は永い間日本に滞在した経験があり、日本語は全く問題ありませんでしたので、B社との契約交渉はずっと日本語で行って来ました。一方日本のA社の社長は余り英語が得意ではありません。
最終的な契約書は、英文契約書で取り交わす旨A社、B社両者とも合意し、英文契約書はB社が作成する運びになりました。11月上旬にB社からB社社長が署名した契約書が2部送付されたので、A社はそのうちの1部にA社社長の署名をしB社に返却し、契約は締結されました。
A社は契約を締結したので、早速B社宛に契約に基きプロフォーマインボイスを送付した所、B社より「発注数量が多過ぎる。B社が必要とするのは1万個であってA社の言う2万個ではない。」と返事をして来ました。
契約交渉の過程では最低発注数量を2万個にすることで、A社の合意を得ており、その証として英文で記載されたメモランダムも10月に交わしています。A社は契約交渉の際、合意したこの最低発注数量に基づいてプロイフォーマインボイスを発行したに過ぎません。A社としては最低発注数量を2万個として製造元とも打合せを済ませているので、今さら半分の1万個では仕入れにも影響をきたしてしまいます。
ところが契約書には最低発注数量の条件は記載されておらず、英文契約書ではお馴染みの下記の条件が記載されておりました。
| This Agreement constitutes the final and entire agreement by and between
the parties with respect to any and all subject matters covered herein
and shall supersede all previous representations, understandings and agreement
between the parties hereto. |
この条件はEntire Agreement(完全なる合意)という条文で、内容は「本契約は、本契約の主題に関する本契約当事者間の完全なる唯一の合意であって、書面または口頭を問わず、当事者間にあったその他の約束、合意または了解事項にとって代わるものである。」というもので、この契約書に記載された事項のみが契約当事者を拘束するものであり、契約書に記載されていない交渉期間中の合意や了解事項は全て無視するという条件です。
従って、この「完全合意」の条項により、契約書に記載されていない最低発注数量は事前に両当事者間で合意があったにしても、契約条件から外されてしまったわけです。
A社の失敗の要因は次の通りです。
| 1. |
B社から送付された契約書に最低発注数量の記載がなかったが、10月xx日付けのメモランダムがあるから良しとしてしまった。 |
| 2. |
契約書の各条項をきちんと読解できなかった。特にEntire Agreement(完全なる合意)の内容を十分理解していなかった。 |
| 3. |
英語力のみならず、国際取引契約についてのバックアップ体制がなく、A社社長一人で判断せざるを得なかった。 |
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このEntire Agreement(完全なる合意)の条項は殆どの英文契約書には一般条項として記載されます。従って規約交渉中に合意した事項の内、必ず契約に反映させなくてはならないものは次のいずれかの方法で必ず契約書に明示させなくてはなりません。
| 1. |
条文として明確に契約書に記載する、或いは |
| 2. |
合意したメモランダムをAnnex(添付)として契約書の付属書類にする。 |
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以上の通り、たった一つの条文で、前言が完全に翻ってしまうことがあります。契約書は念入りに読む習慣を身につけておきたいものです。
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