国際取引の最新事情と実務


第22回 国際取引における英文契約書ー定義条項

この号より契約書の本体の部分について、概説して参ります。

契約書の本体部分の規定条項は契約書の一般条項を除いて契約の種類、すなわち販売代理店契約か、個別販売契約か、あるいは技術供与契約か等々各々の契約の目的や趣旨によって、規定すべき条項が変わってきます。このシリーズではまず一般条項について順を追って概説していきたいと思います。

一般条項は各種契約書に共通して規定されている条項のことを指しまして、大体「定義条項」からはじまり、「契約の期間条項」、「発効条件」「通知条項」、「契約違反条項」「事情変更条項」「最終性条項」、「譲渡」等に関る条項となっています。

「定義条項」については最近国内の契約書においてもよく見られるようになって来ています。特にIT関連の国内契約書においてはIT関連用語の意味や使い方について、契約当事者間の解釈の違いを回避する上からも、重要な条項となりつつあります。国際契約においてはこの定義条項は必ずと言ってよいほど盛り込まれている条項です。定義条項の趣旨はある言葉が契約書の中で何回も出てくる度にこの言葉の意味を契約書の中に書くという煩わしさを避けるため、定義条項を設けその言葉の意味について定義付けておき、以降契約書の中でその言葉が出てきたら、意味は定義条項で規定されている通りとなるのです。

定義された語は定義された意味でしか使われませんので、一般的に使用する場合とは明確に区別できるようにしておかなければなりません。例えば、契約書で製品を特定するため、定義条項で製品と言う意味をこの契約の対象製品として定義付けた場合、この契約の対象外の製品という語とを明確に区分しなければなりません。そのため定義付けられた製品を例えば『PRODUCTS』と大文字で表示し、契約の対象外の製品を普通に『product(s)』と表示しておかねばなりません。

よく失敗する例として、折角定義条項で、ある「語」を定義付けたにも関らず、本文中に定義条項で規定された字体を用いず、普通にタイプしてしまう場合があります。例えば、契約対象の製品を『PRODUCTS』と定義したにも関らず、『products』と表現してしまうと、もはやこのproductsは契約の対象製品ではなくなってしまいます。ですからそのような間違いを犯さない様に注意が必要です。結構この手のミスは多く見うけられます。

尚、この定義条項は契約書のページ数が1−2ページのように非常に少ない場合にはわざわざこの定義条項を設ける必要はなく、その都度本文の条項の中で定義付けるべきです。従い、この定義条項は契約書のページ数が多く、且つ契約書の中に頻繁に繰り返して出てくる語や概念に限定すべきです。

契約書を作成する上で、語や概念を定義付けるのは重要です。そして定義付ける文言は客観的且つ具体的に理解し易い様にしなければなりません。定義付けが抽象的な表現になっては定義の持つ意義がなくなり、かえって誤解を生ずる元になってしまいます。







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