国際取引の最新事情と実務


第25回 国際取引における英文契約書−言い回し

新年明けましておめでとうございます。

昨年は政治・経済とも、大きな変化を目の当たりにした1年でした。今年はこの変化を正しく見据えて新たな秩序ある構造改革を推し進めていく年としなければなりません。このシリーズも今年は第25回としてスタートいたします。
国際取引における英文契約書と題して国際取引契約を締結する上で、私達が注意しなければならない要点を各条項毎に概説しておりますが、今回は少し角度を変えて言い回しについてご説明いたします。

英文契約書については数々の著書を執筆されている岩崎一生氏の解説の中で、成程と思わせる言い回しの例がありましたので、今回はそれを引用いたします。この例は、「延払い等の際の金利について、5%の金利を課しているが、期日に支払わなかった場合はその金利を6%にする。」という条件を設定する英文契約書の例です。

The interest shall be paid at the rate of 5% per year but if the payment is not promptly made when due, then the rate shall be 6% per year.

これを次のように、

The interest shall be paid at the rate of 6% per year, but if the payment is promptly made when due, then the rate shall be 5% per year.

と表現したら、どうでしょう?

最初の英文例では「金利は5%とする、しかし期日にすぐ支払がなされなければ、金利は6%とする。」と言うように、違約した場合は金利を上げるという言い回しです。これに対し、次の例文では「金利は6%とする。しかし期日にすぐに支払がなされれば、金利は5%とする。」と言う言い回しです。

どちらも期日にすぐに支払がなされれば、金利は5%と同じことを、表現しているのですが、どうですか?2番目の例の方が、相手方は受容れやすいのではないでしょうか? 約束を実行すれば 「金利は安くなる」 という表現と、違反したら 「金利を高くする」 という言い回しの工夫の一例です。

これは違約金の例ですが、主張したい事を、どうしても通したい場合には、ちょっとした言い回しを工夫することによって、こちらの主張が問題なく通ることがあります。

尚、この文例は別の意義もあります。契約書に契約違反の際の違約金を規定しておくことは日本の場合はさほど問題ありませんが、英米法では不相応な違約金は無効とされる場合があります。ですから、最初の文例では「but」以下が違約金として、無効となることもあるので、2番目の文例のように表現すれば無効は避けられるであろうという一例でもあります。








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