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今回は英文契約書の一般条項の中の一つである、NO WAIVER(権利不放棄)について概説致します。
契約上に規定された、ある行為に対して相手方当事者に不履行があった場合、その不履行に対して行使できる権利を行使しなかったからと言って、その当事者の権利が放棄されたこととは見做さない、という条項です。
国内契約書では余り見かけない条項ですが、英文契約書では殆どこのような条項を一般条項の中で、表現の違いはありますが、規定されています。
一般的には以下のように規定されます。
A waiver by either party of any terms or conditions of this Agreement in
any instance shall not be deemed or construed as a waiver of such terms
or condition for the future or of any subsequent breach hereof.
No failure or delay by any party in exercising any right, power or remedy
under this Agreement shall operate as waiver of any such right, power or
remedy. No waiver of any of the provisions of this Agreement shall be effective
unless in writing and signed against whom such waiver is sought to be enforced.
具体的にどのような事例があるかと言いますと、例えばある期日までに相手方当事者が支払いをすべき所、支払が期日迄にはなされず、期日後10日経って支払がなされました。それに対して特段その不履行に対する債権者の持つ権利を行使しなかったからと言って、今後の支払に対して契約上の期日から遅延してなされても、その違反に対する債権者の権利の行使を放棄したと認めた訳ではないという意味です。
契約では相手方の不履行に対して、契約解約権やその他不履行に対する罰則規定が設けられています。相手方の不履行に対して、契約上有している権利を行使しなかったからと言って、その後の不履行を容認したことにはならない。という意味を規定している条項です。
よくある事例では、支払期日を守らなくても相手方当事者がその違反に対して権利を行使して来なかった事実は、その事態を一旦容認したのだから、以降も同様の行為を認めるべきであると主張される場合があります。
これは、英米法に基くDoctrine of Waiver(権利放棄の原則)によるものです。
この意味はある違反に対して、債権者がその違反に対する権利を行使しなかった行為は、債権者がその権利を放棄した結果になるという法解釈です。このNO
WAIVER条項はそういった解釈をさせないために敢えて設けた条項ですから、一般条項に規定されている訳です。
このように、NO WAIVER条項は契約の一般条項として通常取入れられていますから、逆にこの条項が契約書の条項に挿入されていないと、契約相手方が履行義務を怠っても、その不履行に対する権利の行使をしないという態度を取ると、その権利の放棄を容認する意思があると解釈される場合も想定出来ます。
英文契約書は国際取引のための契約書であり、国内契約書の英訳ではなく、法概念の異なる国との契約という点を充分認識する必要があります。
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