国際取引の最新事情と実務


第34回 国際取引における運送書類について

 今回はB/L、船荷証券についてちょっとご説明いたします。

先日ある方から、「サレンダードB/Lについて教えて欲しい」との問い合わせがありました。その方とお話している中から、私達は貿易に関る運送書類に付いて貿易取引の実態、特に決済手段と照らし合わせた上での最適な運送書類の手配を考えなくてはいけないのではないか?と感じました。

一般的には船で輸送する場合の運送書類としてはB/L(船荷証券)、飛行機で輸送する場合はAWD(航空運送状)と誰でも考えます。ここで、もう一度B/L(船荷証券)について思い起こしてみましょう。
船荷証券は一般的に次のように言われています。

1. 貨物引渡請求権が表象された有価証券であり、
2. 船会社に対して貨物を引渡したことを証明する受取証であり、
3. 仕向地において貨物の引き取りに必要な引換え証であり、
4. 裏書することにより流通できる流通証券であり、
5. 荷送人である荷主と運送業者との間で交わした運送契約である。


荷受け人がB/L(船荷証券)で貨物を引き取る場合は、船荷証券原本の呈示が必要となります。つまり輸入地における荷受け人は貨物を搭載した船舶が到着する迄にはこのB/L(船荷証券)を手元に持っておく必要があります。
ところが近年船舶の高速化などにより、船荷証券が輸入者の手元に届く前に貨物が到着するというケースが特に近隣諸国との貿易には発生します。因みに日本から韓国の釜山迄でしたら、3-4日で着いてしまいます。貨物の方が、書類より先に到着してしまうのです。

船荷証券の性格上、荷受け人である輸入者は、船荷証券が届いていないので、船会社にL/Gを差し入れない限り貨物を引き取れません。そこで、荷受け人である輸入者が船荷証券の受領を待たずして貨物を引き取れる手段として「サレンダードB/L」があります。

これは、サレンダードB/Lというある種のB/Lを発行するのではなく、通常のB/Lが発行された後、船積地でそのB/Lを船会社が荷送り人の指図により、元地回収されたB/Lを称して「サレンダードB/L」と言います。このサレンダードB/Lは、B/L面上に「SURRENDERED」のスタンプが押されます。この時点荷送り人は船荷証券を荷受け人に送付する必要なく、荷受け人は現地で貨物を引き取ることができるのです。

これが何を意味するかと言うと、前述しました通り、船荷証券は元来流通性のある有価証券なのですが、この時点で荷為替手形の担保として機能は失われることになります。

ここで私が言おうとしている事は、個々の取引に於いて必要となる運送書類は果たして流通性のある有価証券にしなくてはならないのか否かです。冒頭申し上げた通り、海上輸送だからその運送書類はB/L(船荷証券)だと単純に結びつけているのではないでしょうか。

今回お問い合わせのあった方の取引の決済条件は信用状でもDP,DAでもない現金払いつまり、電信送金だったのです。だとしたら、このシリーズの第8回でご説明しましたSea Waybillを使用すればよいのです。Sea Waybillは荷受け人である輸入者に送付する必要もなく、仕向地で輸入者は貨物を引き取れます。ですから、貨物が輸入地に到着したら、荷受け人である輸入者は貨物を引き取れるのです。

運送書類の特質を良く思い起こして、有価証券である船荷証券による貨物の引き取りが必要なのか否かを見極めたうえで、最適な運送書類を運送人より発行してもらうようにすべきです。
尚、Sea Waybillについては、「第8回国際取引における運送書類について」を参照下さい。







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