「金融機関から選ばれる財務戦略」 

平成22年5月26日



金融機関の決算のこれからの動向 INDEX


1.株価下落と不良債権の増加により主要行の収益は悪化
 2008年9月期(中間)の主要行の決算では経常利益は前期と比べて半減しています。その内訳をみますと、本業である貸出から得られる資本損益やフィービジネスから得られる役務取引等の損益は殆ど変化をしていないのに、一般貸倒引当金繰入額を含む与信関係費用が増大しています。これは取引先企業の収益悪化や倒産等を反映した結果と考えられます。また株式関係損益は利益超から損失超に転じており、株価の下落を反映しています。

 2009年3月期決算では、経常利益が黒字から赤字に転落しています。その特徴は与信関係費用が更に増加している点にあります。これは2008年10月以降からの景気の一段の悪化を背景に企業の信用リスクが高まり、貸倒引当金が積み増しされた結果です。また株式等関係損益の損失額が大きく増加しています。これにはリーマンショック以降の世界的な株価の下落が反映しています。


2.自己資本比率は総じて横ばい、不良債権比率は主要行等でやや上昇
 金融機関の自己資本比率を確認すると、総じて横ばい状態です。過去の動きを遡り検証すると、2002年度以降は上昇し、2006年度には大手都銀含む主要銀行11行の合計で13%を超え、地域銀行の合計でも10%を超えています。しかし2007年度には株価の下落の影響もありやや低下し、2008年9月期(中間)の主要行の値は一段と低下しました。しかし2009年3月期は各金融機関の資本調達努力により、総じて横ばいになりました。2009年3月期末の自己資本比率は、主要銀行では12%台であり、国際統一基準(8%)の達成が直ちに懸念されるような状況ではありません。

 不良債権は主要銀行では幾分増加している状態です。不良債権残高を見ますと、主要銀行では2002年3月期がピーク時で約28兆円でした。その後景気が回復する中で急速に不良債権処理を進め、2006年9月以降は4兆円前後で推移しました。その間は不良債権比率も大幅に低下しました。2008年9月期(中間)及び2009年3月期には不良債権残高が幾分増加し、不良債権比率も僅かに上昇しましたが、引き続き低水準にあります。地域銀行はこれ迄不良債権の減少スピードが主要銀行と比べ緩やかであり、2008年9月期(中間)には幾分増加しました。しかし2009年3月期は不良債権処理により再び緩やかに減少しています。



3.自己資本比率と不要債権比率、そして貸出金残高の関係
 実はこの自己資本比率と不要債権比率、そして貸出金残高の三つは密接に関係しています。自己資本比率が高い程貸出の伸びが高く、不良債権比率が高い程貸出の伸びが低いという関係が見られます。従って今後も景気の厳しい状況が続く中で、不良債権が累積し自己資本が毀損する銀行が増加するならば、マクロ的にも貸出に影響が及ぶと予想されます。

 銀行には自己資本比率規制など様々な規制が課されています。特に現代の様に金融市場がグローバル化すると、国際的な金融システムの連鎖的な破綻を回避するために、海外に営業拠点を持つ銀行に対しては、その健全性を確保する目的で国際的な統一ルールとして「自己資本比率制」(8%以上の自己資本比率)が導入されています
従って今後の景気にもよりますが、金融機関の決算動向としては国際業務を営む金融機関は自己資本比率が国際統一基準(8%)、国内業務に特化した金融機関は国内基準(4%)に注意した数値が出来てくるものと予想されます。


上記のように金融機関の決算状況如何により、貸出先への方針が変化する事態も多々見受けられます。財務担当の皆様は、取引金融機関の動向に注視しなければなりません。









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