「金融機関から選ばれる財務戦略」 

平成22年10月28日



P/L再生における各種金融施策の利用の仕方 INDEX

各種金融施策

貸し出し条件緩和債権の見直し
平成20年11月7日適用、以前は金融機関が債務者の有利となるように貸出条件を緩和した場合、3年後にその債権が正常先となる実現可能性の高い経営再建計画が策定されていなければ、その債権は「貸出条件緩和債権」となり、要管理債権、すなわち不良債権に位置づけられていた。しかしこれ以後3年であった計画期間が原則5年、最長10年に延長され、さらには経営再建計画が策定されていなくとも、経営改善の見通しがあれば経営改善計画がある場合と同様に取り扱われるようになりました。
中小企業金融円滑化法
平成21年11月30日「中小企業金融円滑化法」が成立し、12月4日から施行されました。平成23年3月31日までの時限立法です。
景気対応緊急保証
平成21年度二次補正予算の成立を受け、「緊急保証」が「景気対応緊急保証」に生まれ変わり、平成22年2月15日に開始され、平成23年3月31日まで利用できるようになりました。対象は原則として全業種に拡大、企業認定基準は売上前年比減少基準に2年前基準(▲3%)が導入され緩和されています。



P/L再生の定義とは

P/L再生の定義とは、経済合理である「収入−支出>0」と解釈すると

      ・営業キャッシュフロー=営業収入−営業支出
      ・投資キャッシュフロー=資産売却−設備投資
      ・財務キャッシュフロー=新規借入−借入返済

という、3つのキャッシュフローに分解されます。P/L再生とは「必要最低限の投資キャッシュフローと財務キャッシュフローとを賄うことのできる営業キャッシュフローを確保する状態に戻す」ということであると思われます。




施策利用の本質は「時間を買う」

 中小企業の貸出条件が緩和された場合、借入返済負担減り財務キャッシュフローが好転します。また、中小企業が景気対応緊急保証制度により融資を受ければ、ある程度の期間は財務キャッシュフローが好転します。したがって、各種金融施策をP/L再生において利用するとは、「各種施策を利用し財務キャッシュフローを好転させている間に、必要最低限の営業キャッシュフローを確保する状態に戻す」と言い換えることができます。即ち、各種金融施策を利用して「時間を買う」、ということであります。この「時間を買う」という効果は侮れません。中小企業の経営者の多くは資金繰りに窮し、資金繰りに奔走しています。一定期間、資金繰りに目処をつけ、経営・事業・営業に集中するか否かで、経営成績には雲泥の差がつくのであります。



買った時間の使い方

 金融機関の取引先担当者の視点から述べますと、窮地の陥った取引先に対し貸出条件緩和を実施する場合、まずは、改善や再生の可能性を見極め、経営改善計画書の策定をしなければなりません。経営改善計画策定までの猶予期間があるとはいえ、改善施策が思い浮かばないようでは話になりません。一般的な改善施策の立案手順は次の通りです。

      ・営業支出の削減
      ・運転資本の適正化
      ・設備投資額の見極め
      ・不要遊休資産の売却
      ・営業収入の増加

最後に、財務キッシュフローとのバランスを見極め、再生の可能性を見極めます。
財務キャッシュフローとのバランスによって、貸付条件の変更、旧債の借換、DDS、DES、債務免除などの方策を立案しなければなりません。また、他の金融機関と連携・協調していく必要が出てくるかも知れません。

一方、景気対応緊急保証を利用する場合、一般的にいえば、買える時間は貸出条件緩和と比べれば限れています。さらに改善や再生に対して、金融機関が積極的に携わりにくく、中小企業は融資を受けてホッとしているものの、買った時間はあっという間に過ぎていくため、中小企業の再生という観点から考えれば、こちらのほうが性質が悪いかも知れません。



企業側に求められること

 企業は各種金融施策を利用しても、金融機関への他力本願では再生などの覚束はなく、相応の努力が求められるのは必然になってきます。金融機関がどれほどの熱意を傾けて経営改善計画立案を策定したとしても、計画を実行し、成果をあげない限り、中小企業の再生は難しいと思われます。再生の道を辿れる中小企業とは、経営者だけでなく、従業員全員が「危機感」を共有し、「緊急性」を認識している企業であり、従業員全体が再生するため一丸となって計画を実行するための結束力や計画の実行力が求められてきます。








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