相続についての弁護士業務

 

  はじめに

 弁護士業務は,民事,刑事などを含む幅広い業務に及んでいます。

 六法全書をみた方はおわかりだと思いますが,厖大な量の法律があり,法的紛争の紛争解決,予防という観点からの弁護士業務の範囲も厖大です。

 

2 相続についての弁護士業務

 したがって,ここでは,皆さんの関心の深いと思われる,相続問題についてお話を絞って,業務について,ご説明をしたいと思います。

 相続をめぐる法律上のトラブルは,皆さんが考えているよりもはるかに多いのです。しかも、そのトラブルは,被相続人が生前に手当しておけば防げるものが大半なのです。税務対策も重要ですが、相続時の法律上のトラブルを防ぐ対策をしておくことも重要です。

 

3 相続の仕組み

 人が死亡した場合、その人に財産があると(負の財産であっても)相続が開始します。

 死亡した人を被相続人、その人の財産を相続財産、財産を相続する人を相続人といいます。相続人の範囲は法律で決められています。配偶者(妻あるいは夫をいいます。)は必ず相続人となり、子、親、兄弟はその順で相続人となります。つまり、子がいれば、子と配偶者が相続人となり、親は相続できません。子がいないと親と配偶者となり、子も親もいないと兄弟と配偶者が相続人となります。配偶者がいないときは、上記の順で子以下が相続人となります。

 

4 遺産分割の仕組み

 相続人には法定相続分というものがあり、民法で決められています。被相続人が遺言をしないで死亡した場合、その割合を目安にして相続財産が分配されることとなります。

 しかし,黙っていれば,誰かが分配してくれるるわけではありません。これに基づいて、相続人同士話合いをしなければなりません。もちろんそれで解決する場合が多いのですが、相続人の中で1人でもそれに合意しない場合は、遺産の分割ができないのです。遺産の分割は、全員一致が必要だからです。

 気をつけなければならないのは、例えば相続財産としての土地を単純に割り振りできないということです。それぞれの土地を共有持分何分の1という方法で割り振らないで、それぞれを単独所有させるようにするのが遺産の分割の通常のやり方です(共有にしているといずれは分割の問題が出てきます。)。

 当事者間で話合いがつかなければ、家庭裁判所で調停、審判ということになります。この場合には,弁護士が代理人として,関与することとなります。

 遺産分割の調停,審判は,寄与分その他取扱が必ずしも定まっていない要素も絡み合って、分割の行く末も明確でない場合がままあり、遺産分割の手続だけで相当の期間を費やす場合もあります。このようなことがあると、相続人間で相当なエネルギーを要するのみか、その後のいがみ合いの原因にもなりかねません。

 

5 遺言の効用

 実は,遺産分割に関するトラブルは、ある程度は簡単に防げるのです。

 それは、被相続人が遺言書を作成することです。一般的には「ゆいごん」といわれていますが,法的には「いごん」と言います。

 被相続人が死後、自己の財産を誰にどのように分配するかを予め決めておくのです。このことによって、相続時のトラブルの大半は防げるでしょう。

 事業承継などでも,被相続人の意思通りの財産分配ができることにより,よりスムースに進みますし,そうなれば,相続税などの納税も容易です。

 さらには、相続人ではない者、例えば、内縁の配偶者、法人、その他の者にも財産を分配することができ、被相続人は、自分の意思で将来の差配ができることとなり、利点が大変多いのです。

 遺言をしたことにより、あまり財産をもらえない特定の相続人の当てが外れることはあっても、全体としてのトラブルは小さくなることは否めないことでしょう。

 しかも,遺言については,遺言執行者を決めて,相続時の財産の承継手続を任せることができ,相続人が行わなくとも,遺言執行者が承継手続を行うことができるのです。

 

6 弁護士の活用

 遺言については,遺言で決められることが,法律で決まっており,それ以外のことはできません。

 また,遺言の方式も法律で決まっており,自筆遺言,秘密遺言,公正証書遺言の3種類あり,形式が決まっています。形式が誤っていれば,遺言は無効となってしまいます。

 さらには,遺留分という制度があり,特定の相続人に遺産をあげなかったり,ごくわずかしかあげないときには,その相続人は,もっと分配するように求める権利があります。

 したがって,そのような問題については,弁護士と相談をしながら,遺言の内容を検討した方が,紛争予防の観点からも妥当です。

 遺言書作成の主たる目的の一つは,紛争の予防ですから,紛争が発生しないように,細心の注意を払う必要があります。その点さえ注意を払えば,遺言書の作成は難しいことではありません。また,後日内容の変更をすることも簡単で,いったん遺言をしたら,内容を変えることできないなどということはありません。

 弁護士業務の中では,もちろん,遺産調停手続などの代理もありますが,遺言書作成の相談,遺言執行などもかなりの部分を占めています。

 また,弁護士が遺言執行者となることにより,相続人が自分で財産承継の手間のかかる手続をトラブルなしで進めることもできます。

 遺言書の作成については,遺言書作成の専門家である弁護士に相談しながら,作成することをおすすめします。

 

 

 宮川博史法律事務所

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