国際課税

 

1)非居住者等に対する不動産化体株式の譲渡益課税

各国の税制の相違や間隙を利用する国際的な租税回避を防止し、確実な執行が可能と

なるよう制度の整備を行っていくことの一環として、非居住者等に対する不動産化体株式の譲渡益課税の適正化を図る措置が講じられました。

  改正後は、非居住者・外国法人が国内にある不動産(土地等・建物その他一定の資産)を主たる資産(総資産の50%以上)とする法人の発行する株式等又は国内にある不動産を主たる信託財産(信託財産の価額の総額の50%以上)とする特定信託の受益権の譲渡によって得た所得は、申告納税の対象となる国内源泉所得の範囲に加えられます。

  ただし、所有割合が2%以下の未上場株式や所有割合が5%以下の上場株式の譲渡の場合には、非課税とされます。

  上記の改正は、非居住者は平成18年分以後の所得税について、外国法人については平成1741日以後に開始する事業年度の法人税について適用されます。

 

 

 

 

 


2)外国子会社合算課税の見直し

  我が国企業の外国子会社のうち、税負担の著しく低い外国子会社に利益を留保すれば、我が国での法人税課税を免れることができます。

  外国子会社を利用した税負担の不当な軽減を図る租税回避行為を防止するため、実効税率25%以下の国(例:シンガポール)にある外国子会社の留保所得に対する持分相当額に対し、日本の親会社の所得と合算して課税する制度を外国子会社合算税制といいます。

 

 

 

 

 

 

 


イ 合算課税の対象になる留保所得の見直し

<適用除外基準>

 
経理・人事・法務・事務等を処理するため、業務上必要となる人員を相当人数雇用している地域統括会社に対応するため、特定外国子会社等で所在地国基準又は非関連者基準を満たさないものが、事業基準・実体基準及び管理支配基準を満たす場合には、適用対象留保金額について、その特定外国子会社等の未処分所得の金額から人件費の10%に相当する金額が控除されることになり、平均的な内国法人の利益水準まで内部留保が認められます。

 


ロ 二重課税排除の調整措置

  合算課税された外国子会社の留保所得から、将来、親会社に配当が行われた場合において、その配当所得に課税すると二重課税になることから、その配当相当額については親会社において損金算入することが認められています。

  しかし、この調整措置は合算課税された年度から5年以内に配当が行われる場合に限る等の制限があることから、外国子会社の企業行動や利益処分の制約になっています(欧米先進国ではこのような制約は有りません)。

改正後は、二重課税の排除を徹底するため、内国法人等が特定外国子会社等から配当等を受けた場合における損金算入限度額の対象となるその特定外国子会社等に係る課税済留保金額の対象期間が5年から10年に延長されました。

  上記の改正は、内国法人等の平成1241日以後に終了した事業年度において生じた課税済留保金額について適用されます。

 

 

 

 

 

 

 

 


ハ 合算課税適用期間中の欠損金の繰越期間の延長

  特定外国子会社等の未処分所得の金額の計算において、控除する欠損金に係る繰越期間が5年から7年に延長されました。

  上記の改正は、特定外国子会社等の平成1741日以後に終了する事業年度において生ずる欠損金額について適用されます。

 

 

 

 

 

 

 



ニ 外国信託の追加

  内国法人等に係る外国で設定された一定の信託(特定信託に類するもの)が合算課税の対象になります。

  なお、その信託には適用除外基準が設けられません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ホ 外国子会社合算税制の適用を受ける子会社の判定

  外国関係会社及び合算課税の適用を受ける内国法人等の判定において、内国法人の非居住者である役員等の有する株式等が加えられました。

軽課税国



ヘ 利益分配額が異なる種類の株式を発行している場合

  特定外国子会社等が利益の配当又は剰余金の分配の額が異なる株式等を発行している場合には、その利益の配当等を受ける金額に応じて課税対象留保金額の計算を行うこととになりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


() 利益分配額が異なる種類の株式を発行している場合に限る。

 

 


3) 非居住者等に対する事業譲渡類似株式の譲渡益課税の適正化

国際的な租税回避を防止し、確実な執行が可能となるよう制度の整備を行っていくこ

との一環として、非居住者等に対する事業譲渡類似株式の譲渡益課税の適正化を図る措置が講じられました。

  内国法人の特殊関係株主等である非居住者等が行う次の要件を満たす内国法人の株式の譲渡益については、我が国で課税が行われます(事業譲渡類似株式の譲渡益課税)。

 <要件>

・ 譲渡の日の属する年以前3年以内のいずれかの時において、その内国法人の特殊関係株主等が、その内国法人の発行済株式等の総数の25%以上を所有していたこと

・ 譲渡の日の属する年において、内国法人の特殊関係株主等が、その内国法人の発行済株式等の5%以上を譲渡したこと

※ 特殊関係株主等

  特殊関係株主等とは、株主等及び株主等の同族関係者をいいます。

 

改正後は、非居住者・外国法人が民法組合等を通じて内国法人の株式等を所有している場合には、個々の組合員が特殊関係株主等の範囲に加えられました。

  また、本制度の対象となる株式等の範囲に、減資による払戻しを受ける場合等(一定の要件を満たす場合に限ります。)における株式等の譲渡等が加えられました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 



4)
外国組合員に対する課税の確保

  非居住者・外国法人であっても民法組合等の得る収益で自らに帰属するものについては、我が国において毎年申告納税しなければならないこととされていました。

  しかし、非居住者等の申告もれが多発しているため、改正後は、民法組合等の外国組合員が受ける申告納税の対象とされている利益(その民法組合等が国内で行う事業から生ずるものに限ります。)の分配について、次の措置が講じられました。

イ 投資所得に対する源泉徴収

  民法組合等の外国組合員が受けるべき利益の分配については、民法組合等の各計算期間の末日の翌日から2月を経過する日(同日前に利益の分配が行われた場合には、分配が行われた日)に、20%の税率により源泉徴収を行います。

ロ 適用除外

  国内に組合事業以外の事業に係る恒久的施設を有する外国組合員については、一定の要件の下、上記イの源泉徴収を行う必要がありません。



ハ 支払調書制度の整備

  外国組合員が上記イの各計算期間に受けるべき利益の分配に係る支払調書制度の整備が行われます。

 


 

5) 移転価格税制における国外関連者の範囲の拡充 

  企業が国外の関連企業との取引価格(移転価格)を通常の価格と異なる金額に設定すれば、一方の利益を他方に移転することができます。

  このような国外の関連企業(国外関連者)との取引を通じる所得の国外移転を防止するため、その移転価格を通常の取引価格(独立企業間価格)に引き直して課税する制度を移転価格税制といいます。

  移転価格税制が適用される国外関連者は、持株関係(50%以上)又は直接の実質支配関係(役員の派遣等)に基づいて判定されますが、改正後は、適用対象となる国外関連者の範囲に、次の者が加えられます。

イ 内国法人等と外国法人との間に実質支配関係と持株関係との連鎖による又は実質支配関係のみによる間接の支配関係がある場合の外国法人

ロ 内国法人等と外国法人とが同一の者との間で、実質支配関係と持株関係による又は実質支配関係のみによる直接又は間接の支配関係がある場合の外国法人

       実質支配関係とは、事業方針を実質的に決定できる関係をいいます。

       持株関係とは、発行済株式総数の50%以上を保有する関係をいいます。

 

 

 

〔改正前の適用範囲〕

 

〔改正前の適用範囲外〕

 
 

 

テキスト ボックス: 移転価格税制の適用対象に加える
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


6) 外国税額控除の整備

  国際的な二重課税の排除措置として国際的に確立した制度であり、外国で納付した外国税額を国内所得に対し我が国で納付すべき法人税額の範囲内で控除することが認められています。

  改正後は、居住者の外国税額控除制度について、次の措置が講じられました。

イ 外国税額控除の適用を受けた外国所得税の額が後に外国において減額された場合には、その減額された年分において納付した他の外国所得税の額から控除する等の調整措置。

  上記の改正は、平成1741日以後に外国所得税の額が減額される場合について適用されます。

 控除対象となる外国所得税の範囲から、租税条約の相手国において課された外国所得税のうち租税条約の規定により外国税額控除の対象とされないこととされたものを除外。(例:米国市民課税)

  上記の改正は、平成18年分以後の所得税及び平成19年度分以後の個人住民税について適用されます。

 

2 印紙税の税率の軽減措置の延長

  平成941日から平成17331日までの間に作成される不動産売買契約書(第1号文書)及び建設工事請負契約書(第2号文書)のうち、記載金額が1千万円を超えるものの印紙税の税率は、課税物件表の規定にかかわらず次の軽減税率が適用されていますが、改正により軽減税率が2年延長されました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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