有限責任事業組合(LLP)と有限責任会社(LLC)について

200561

会社法改正と有限責任事業組合契約法により、株式会社と組合の長所を融合した新しい組織形態が出現します。それが有限責任事業組合(LLP)と有限責任会社(LLC)の二つの種類の組織です。
 

これ迄の利益を追求する会社組織は、株式会社を始め、有限会社、合資・合名会社でした。しかしこれらの組織形態に依る組織運営方法には限定されず、これら既存の組織よりも柔軟な対応が出来、しかも経営者或いは出資者の危険負担を回避或いは軽減が可能な組織運営形態が、有限責任事業組合(LLP)と有限責任会社(LLC)として利用可能になります。

 

1.有限責任事業組合(LLP)と有限責任会社(LLC)の特長は以下の三つになります。

1)有限責任制:構成員全員が出資額を限度に有限責任を負います。

2)構成員課税(パス・スルー課税)が適用され、出資者に直接課税されます。

3)出資者自らが経営(組織運営)をするので、利益配分を始め組織内部の取決めは出資比率に依らずに、組合員の合意で株式会社よりも自由に決められます。

 

2.有限責任事業組合(LLP)の説明

有限責任事業組合(LLPLimited Liability Partnership)は、経済産業省所管の「有限責任事業組合契約法案」により設立が認められる組織形態です。特許や技術或いはノウハウがあるのに資金が不足している技術者や、特許を取得した大学教授が、組織力と資金力がある大企業と対等に事業を進める際に活用出来ます。
 民法上の任意組合は、株式会社や有限会社等、会社法で定められた経営形態や利益配分よりは比較的自由に組織内規則の設定と運営が出来ます。しかし任意組合を運営した場合、組合の債務は各組合員の債務であり、組合員は債務者に対し無限責任を負います。それに対し有限責任事業組合(LLP)では、任意組合が負う無限責任では無く、株式会社と同様に出資額を限度にした有限責任に留まります。

しかし有限責任事業組合(LLP)の組合員の間での利益配分は、出資比率に応じる必要はありません。例えば事業に不可欠な技術開発をした技術者が組合に対する出資額自体は少なくても、利益配分の際に例えば全体の6割の配分を受ける様に取り決め、残りの4割を組合運営に携わった組合員で配分するという具合に取り決めが出来ます。

有限責任事業組合(LLP)には「法人格」はありません。従って有限責任事業組合(LLP)の段階での法人課税はされずに、利益配分を受けた出資者が、出資形態に応じて個別に税金を支払います。

3.有限責任会社(LLC)の説明
 有限責任会社(LLCLimited Liability Company)は、法務省の会社法改正により利用可能になった組織形態です。

上記の有限責任事業組合(LLP)とは異なり、有限責任会社(LLC)には「法人格」が認められています。従って有限責任会社(LLC)自体に課税される可能性があり、結果的に有限責任会社(LLC)の段階と出資者(社)の段階とで二重課税が生じる恐れがあります。この税務上の取扱が論議され、税務当局は法人格を有する組織形態の中で、有限責任会社(LLC)だけを特別扱いするのは困難との見解を示しています。また有限責任会社(LLC)は法人格を持つが故に、株式会社、合名会社並びに合資会社との合併等による組織改変が可能です。

 

4.有限責任事業組合(LLP)と有限責任会社(LLC)の活用例と留意点等

     株式会社と同様に、出資者は出資額を限度にする責任を負うだけなので、危険度が高い事業を運営する際に活用出来ます。欧米では石油掘削や鉱山開発或いはベンチャー企業投資を始め、リスクが高い事業への投資手法として盛んに活用されています。しかし我が国ではこれ迄余り利用されていなかった組織運営形態です。

     有限責任事業組合(LLP)は、民法上の組合と同様に出資者に直接課税されるので、二重課税問題を回避出来る筈です。

     民法上の組合や合名会社と同様に、出資者が経営を担い自ら内部の規則を定めて運営が出来ます。従って大企業同士の研究開発事業や、大企業とベンチャー企業とのコンテンツの共同開発事業とか、或いは弁護士・公認会計士・税理士等の専門「士業」が組んで総合的なサービスを行う場合にも活用が出来そうです。

     株式会社や有限会社では、最低資本金の制限と取締役と監査役の定数と設置が法律で決められています。それに対して有限責任事業組合(LLP)ではこれらは強制されません。

     有限責任事業組合(LLP)では組合員の全員が業務執行に当たらなければなりません。

     一方有限責任会社(LLC)では「原則組合員全員が業務執行に当たる」と定められています。従って有限責任会社(LLC)の定款等で例外を設けられます。

     有限責任事業組合(LLP)は期間を限定して成果を挙げる目的で運営する事業目的に向いた組織形態です。従って投資会社が構えるファンドや、ファンド自体を会社型にして機動的な投資活動を行う等の金融サービスで活用されるでしょう。

 

以下余白