インターネットに店を出せば儲かるなんて思っていませんか?

有限会社トライアル 代表

松本肇

 私が最初にインターネットで出店したのは、2000年の秋です。私の会社はメーカーでもなければ卸問屋と関係があるわけでもない、ただの企画会社です。

そんな私がオンラインショップを開いたのは、当時たまたま社会人学生として在籍していた某大学の研究論文で、楽天市場に出店する顛末を実践研究として発表しようとしたのがきっかけです。

 いろいろな商品を取り扱い、ショップを更新したり、メルマガを配信したりと仕事に追われ、日々の売上に一喜一憂してきたこの4年間ですが、今では小さいながら、いくつかのショップを運営するまでになりました。

 現在の私は、この経験を生かし、オンラインショップや経営に関するコンサルタントを行っております。

 

■オンラインショップの現実的な売上

 今年、IT系の会社に勤める友人が、私のショップの売上を見て、驚きました。

 「おまえの会社、ハッキリ言ってすごいよ。実際の店舗を持っていないオンラインショップでそんな売上を得られる会社なんて、そうそう無いよ。」

 

 実は私の会社は、人に自慢できるほどの月商はありません。アルバイト1人を雇って、やっと運営できる程度です。

 しかし、楽天市場に出店している多くのショップと比較すると、おそらく上位に食い込むでしょう。

 楽天市場は、出店している店舗数は1万を超えます。プロ野球への参入でも有名になったように、楽天というブランド力は強く、各種アフェリエイトによって同サイトの訪問者数は極めて多く、この他にも販売に関する研究を行い、消費者に対するさまざまな働きかけをしています。

 しかし、楽天市場に出店している6〜7割のショップは、楽天に支払う1年間の出店料、63万円も売り上げていないと言われています。63万円を支払うには、少なくとも63万円の粗利が必要ですから、粗利が50%の商品であれば、年間126万円の売上が必要です。しかし、現実には売上レベルですら年商63万円もない会社が多いのです。

 会社が業務としてやっている仕事で、年商63万円もあげられないなんて、レベルが低すぎますよね。

 

 

 

■たくさん売るには「カンタン」では無理がある

 楽天を始めとする大手のオンラインショッピングモールでは、htmlをよく知らなくても、テンプレートに従ってショップを構築できるシステムを用意しています。しかし、良い商品を購入しようと考えている消費者が、あまりにも素人くさいホームページで購買意欲をそそられるかといえば、それは疑問です。ヴィトンのバッグを、怪しげなバラエティショップで買う気がしないのと同じです。

 すると、専門のwebデザイナーに依頼してショップの構築を依頼する訳ですが、それもまた難しい。いつまでも同じデザインの同じ商品しか扱わないなら、初期投資で数十万円を用意すれば良いのですが、季節商品を扱うショップや新製品を販売する際には、再びサイト構築のために数十万円のコストがかかります。

 多くのショップの場合、お客様とのメールのやり取りや決済・配送・在庫管理といった雑用も多くなるため、コンピュータをある程度扱える若者が担当し、ショップの更新作業も一緒に行います。

 

■小規模店だからこそできるオンラインショップを目指せ

 オンラインショップを運営する場合、楽天の出店料は年63万円。月給20万円のスタッフを1人雇うとして年240万円。ざっと計300万円の固定費を覚悟しなければなりません。これを楽天のスタッフに質問すれば、「年300万円のコストをペイできるかなんて考えないで、年1億円売れるようにしましょう」と言われるでしょう。しかし、オンラインショップで年商1億円を目指すなんてことは、なかなかできることではありません。

 扱う商品によって、それが可能なショップもあるかもしれませんが、個人で細々と運営している洋品店や町の雑貨屋さんにはなかなか真似できません。

 しかし私は小規模店舗だからこそ、オンラインショップを設けるべきだと思っています。

 

■不良在庫が思いもよらない宝になる

 私は15年前、川崎市の古本屋でアルバイトしていたことがあります。そこは入店するとちょっとカビ臭いにおいがする、昔ながらの古本屋でした。

 当時、私はテレビのクイズ番組が好きで、ウルトラクイズとか、タイムショックといった番組の本を収集していたことがありますが、ほとんどの古本屋にとってクイズ本というのは不良在庫商品です。古くなったクイズ本というのは、古新聞程度の情報ですから、クイズマニアと呼ばれる人くらいしか買いません。

 私は、その不良在庫となっているクイズ本を店主からタダで貰い、知人のクイズマニアに1冊100円で販売してみたところ、飛ぶように売れてしまいました。クイズマニアはクイズ本を見ながら互いにクイズを出題し合うという遊びをよくするため、新品の本はすぐにヨレヨレとなってしまうため、消費用のクイズ本として売れるのです。

 もし、今も、私がこの書店に勤めていたら、きっと「クイズ本専門店・Q-Book」なんてオンラインショップを立ち上げていたに違いありません。

 書店を訪れる人は見向きもしない不良在庫を分類し、オンラインショップで販売すれば、全国のマニアが注目します。

 見栄えが悪くてもいいからオンラインショップを開店し、マニア向けの商品をショップに置いておくだけで、高値で売れてしまうことが現実にあるのです。

 しかし、この古本屋が楽天市場に出店すると、出店料だけで63万円が必要です。この63万円を一般的な古書店の粗利益率(70%)で考えると、オンラインショップで100万円程度の売上があって初めて出店料を捻出できることになります。逆に言えば、年に100万円くらいしか売上が見込めないのであれば、やらない方がマシということになります。

 オンラインショップによる売上見込みが全く把握できないうちに、出店料63万円を払えというのは、あまりにも高額です。

 

■大手モールは成熟商品を売るのに適している

 大手のオンラインショッピングモールは、ある程度、社会に認知された商品を販売するのに適しています。例えばワインやパソコン、有名ブランド商品です。

 逆に、どちらかといえばニッチと呼ばれる分野や独自性を打ち出した商品は大手のモールに出店しても、あまりメリットはありません。例えば松本商店の松本社長が精根込めて作り上げた高級バッグとか、北海道のある地方で取れる特別に美味しいジャガイモといったものです。

 大手モールは、たくさんあるショップで登録された商品を、トップページから検索することで特定のショップにたどり着きます。したがって、どんなに商品を登録しても、検索にヒットして選ばれなければ、お客様はショップにたどり着きません。

 北海道の特別に美味しいジャガイモは、その希少価値ゆえに1個1000円だったとします。このジャガイモには農業を営む松本さんの名前「松本ポテト」という名前が付いていたとします。しかし、大手モールに出店したとしても、「ジャガイモ」で検索すると、異常に高いジャガイモということで消費者には嫌われますし、マスコミで話題にならない限り「松本ポテト」なんて検索をしてくれる人はいないでしょう。

 したがって、このような独自色の強い商品は、大手モールには適しません。

 

 

■小規模店舗がそこそこの利益を上げるには

 さすがに一口で詳細をお教えすることはできませんが、オンラインショップが「売上」ではなく「そこそこの利益」を上げる方法として、次の3つの方策が挙げられます。

(1)あなたのお店の商品を必要としている人が、あなたのショップにたどり着くこと

 どんなに素晴らしいお店でも、お客様が訪れにくい場所に店を設ける店主はいません。必要とする人が見つけやすいような仕組みを作らねばなりません。

 

(2)あなたが適度にさばけるだけのお客様に、きちんと対応できること

 仮にお客様がたくさんいらしても、あまり長く待たせるとお客様は怒ってしまいますし、急ぐあまりサービスが悪くなってはいけません。単なる自動販売機では、お客様はリピートしてくれません。

(3)少ない従業員で、簡単に受注・発送をできること

 少ない人件費で、どこに何をどれだけ送れば良いのかを知り、注文があったらすぐに発送できる仕組みを作らねばなりません。また、なかなか代金を払ってくれないという事態は避けなければなりません。

 

 つまり、「必要とする人へのアプローチ」と「顧客満足度の拡充」そして「省力化と低コスト」なのです。この3つは、オンラインショップに限らず、路面店でも必要なことですから忘れないでください。失敗しないオンラインショップ運営は「とにかく頑張る」ではないのです。(以上)

 

 

 

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